ちょっとまえネットで話題になっていた、はいだしょうこお姉さんがスプーを描いたムービーが、NHKからの要請によりYouTubeから削除されたそうです。
まあ当然といえば当然の措置です。そして、テレビ番組の違法アップロードに苦慮しているとの記事がありました。
▼ 「スプー」削除の舞台裏 「YouTube」にテレビ局苦慮
YouTubeは、可能性を秘めたサービスだと思っています。
それが違法コンテンツの溜まり場になり、憎まれっ子になっているのは残念です。
このままアングラなものになってしまったり、封鎖される事態になったら、とても勿体ないと思います。
ぼくは、自分のビデオブログサイトへの動画供給インフラとして使っている部分もあるから、非常に困ります。
そういう視点で、違法ファイル削除と再アップがいたちごっこになっている様相を見ると、なんだかやるせない気持ちになってきます。
僕も面白いなあと感心していくつかの番組のムービーを紹介したことがあったけど、今考えるとあまり良い行為じゃなかったです。
さて、それではコンテンツ製作者は、金を払わないと一文字だって見せるものかと言っているかというと、そうでもないようです。
この記事を読むと、利益を受けてしかるべき人に、きちんと還元されるようになっていれば、そして、そのことを説明されていれば、コンテンツの一部分を露出させるプロモーションも可能であるとわかります。
メリットを還元しろと。
肝心なのは、そういうことですね。
そこでメリットを還元する仕組みの現状を見やると、権利者を保護するために、「金を払わない者には見せない」など対策が一般的ですが、その制限は講じるたびにクラッキングみたいなハックによって台無しにされてます。しかもだいたい評判が悪くなる。
これは消費者側からすると、もしかしたら気に入らないかもしれないものに安からぬ金額は掛けられぬ。そんな心配にコンテンツ提供側がケアしてないように感じるからなのかな。残念ながら、見て損したということは往々にしてあり、そのリスクをできるだけ減らしたい要望が必ずありますから、サンプル視聴機会が望まれているわけです。
で、いろいろ背景があるなか、結果として購入希望者には商品情報を乏しくしたまま、著作者の権利も守れない状態にすぐになってしまいます。
思うに、禁止や規制によりガードをするのは限界が見えていて、もし違う手を講じるとすれば、次の手は「進んで正しいことをしたくなる仕組み」になるだろうと考えられます。
不正を働けばすぐに突き出されるリスクと、正しくやればその行動にメリットが付与される仕組みを明示してやる。信賞必罰の態度の表明というべきでしょうか。
ところで「進んで正しいことをしたくなる仕組み」が、そんなに有効なのだろうか?との疑問もあります。
これについては、閉鎖に追い込まれたグロックスターやカザーなどのファイル交換ネットワークと、iTunesの安価な課金システムの、対照的なケースから示唆を得ることができます。
グロックスターやカザーからは起訴され、多額の賠償請求をされたユーザーが出ました。
一般人であっても学生であっても、法律を犯したものは許さんという表明でした。どちらのサービスも告訴されたユーザーが出てから利用者が減っていき、司直の手によって止めを刺されました。
一方iTunesの楽曲は、有料であるにも関わらずどんどん利用者を増やしていきました。現在の様子はいうまでもありません。
この背景は1曲あたり100円で購入できるのであれば、訴えられるリスクを冒すよりも、100円払ったほうがよいと判断するユーザーが多かったからだと言われています。
「訴訟リスクは負いたくない。よって正しいことをしたくなる仕組み。」そう解釈できます。
このケーススタディをもう一歩進めて、著作者に還元するルートのある経由方法で配布する手伝いをすれば、相応のメリットが著作者のみならずユーザーにも入る仕組みが用意できれば、「進んで正しいことをしたくなる仕組み」となるでしょう。
これについてはアイデアがあるけど、ちょっといえないです。
さらに加えるなら、著作者への配慮と、侵害するものには味方しないとのメッセージを発することも必要でしょう。
たとえば、著作者が侵害するものと戦うとき、どういうものを用意したらよいかアドバイスしたり、
作家に成りすまして作品をアップしたり、対価を要求する輩への対策をアドバイスしたり、
違反者を糾弾する場合は、そいつの情報を引き渡す用意があると明示することです。
これによって、歓迎されない手段をとることは非常にリスキーで、どう考えても正しい方法でコンテンツをあつかったほうが手にできるメリットが大きいと判断できれば、安易な違法ファイルのアップは減るんじゃないかと思います。
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