先日、「うそつき。」を紹介したおり、あのYouTubeにアップされたクリップを見たTomozo3さんが、はてブで残した反応が「見た。でも笑い声の無い、高画質版がほしいね。」だったんです。
[高画質版ほしいね]
↑この反応が、非常に重要なんです。
「プロモーションになってませんか?」とは、
小さくて品質的にちょっと低い見本で中身を確認させて、もっとちゃんとした版への購買意欲をくすぐってるわけですよ。
存在を知らないものは買おうと思わないし、中身が気に入るかどうか分からないものは、買うのに躊躇します。
そのブレイクスルーになってるなら、これはいいなと。
ここで当然反論があるでしょう。
「ああいうアップロードは違法じゃないか。手段は正当化できないぞ。」
「予告編なんて、今でもあるじゃないか。別に目新しくないぞ。」
「中身が通して見えてしまったら、DVDとか買ってくれないだろ」
など。
違法性については、これが海賊版だったら、まず黒判断でしょうね。
しかし違法か否かの核心は、契約とお金の流れの問題だったりします。
プロモーション戦略として、コンテンツ製作者が意図的に仕込んだ場合は違法ではなくなるでしょう。
今回はそこを含んだ仮定で考えてみたいので、その是非は論じません。
「予告編は既にある。」との指摘は、まあそうなんだけど、あれは全然別物だとの面があります。
予告は期待させられたけど、本編見たらツマンナカッタなんて経験があるでしょう。
予告映像は告知する機能はあるけれど、あまりにも編集しすぎて別な作品になっています。
お金を払っても損しないかどうかの判断材料にはならないんです。
最後に「中身が見えたら、DVDが売れない」の指摘。
これは、品質にばらつきのあるプロダクトを確認もせずに買えるか。って心理がありますね。
あと、小さくて画質の低いサンプルを一目見ただけで去ってしまう人や、無料なら見てもいいと考える人は、そもそも関心度が非常に低く、購入意欲なんか皆無なんですが、
そういう人が見もしないで商品を買ってくれることなんて、ほぼ無いだろ。と判断できます。
世の中の人のほとんどは、コンテンツにお金を払わない。
無料放送されるのを待つか、全然見なくても構わないのが基本的姿勢。
また、作品には「つまらない」「趣味にあわない」というリスクが必ずあって、認知された基礎情報(好きな演出家であるとか、過去作品を知っているとか)がない限り、品質を信用されていないんです。
だとすると、興味をもってくれた人を確実に引き寄せる施策こそ重要と考えられます。
振り向いたユーザーを取りこぼさないというのかしら。
それにはクオリティの安心感を与えて、「この上さらに満足感をもたらしてくれるものを手元に置いておきたい」とのコレクション心を刺激することが必要でしょう。
この目線から判断すると、「小さくて品質的にちょっと低い見本をばら撒く」というのは基本的にアリかもしれないと思えてきます。
あとは、どこまで出して、どこを隠すか(あるいはどこまで劣化させるか)と、ホントにただでばら撒くのは悔しいから、ほかのプロモーション要素も入れておくなど、運用上の調整かな。
そして、出す以上作品に信用情報をつけてくれる装置が必要になります。
これについては、YouTubeを例に後述します。
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