[N]ネタフルさんの今日の記事で知りました。
「PSPの出荷台数が1,000万台突破」
(ニュースの元はCNET JAPAN 「発売から約10カ月--PSPの全世界累計生産出荷台数が1000万台突破」)
大変な出荷量から勢いを感じる記事です。
PSPは携帯ゲーム機というよりは、映像ソフト再生機能を柱にしているところがあり、その機能によってターゲットユーザー層の住み分けがなされている。ゆえに携帯ゲーム機市場の食い合いからまぬがれた。といえましょう。
ヒントは、こちらの資料。
「任天堂の携帯ゲーム機がPSPに影響されなかった要因の1つがユーザー層である。任天堂は初代「ゲームボーイ」発売時から一貫して,携帯型機を子供/若年層向けと位置づけている。キャラクター・ゲーム用のプラットフォームというわけだ。逆にSCEIはゴルフやマージャンなどのゲーム・ソフトを柱に,映像ソフト再生機能を付加し,任天堂よりも高年齢層をターゲットする。」
週刊ポスト 11/4号 『「トヨタの倹約令」「ソニーの動画戦争」から日本企業の浮沈を占う!』でも、内部の人のインタビューのような形式で「動画再生でiPodに負けない」とのコメントが乗っていました。
こういうことは今後もそうした方向性で進んでいくのでしょう。
ロケーションフリーというハードウェアを投入する様子からも、あきらかです。
さて、ここで私がVodcasterとして興味があるのは、『PSPが扱う動画は、どういうソースの動画か。』ということです。
ソースとは、ネット上に公開された、プロ・アマ雑多のコンテンツを扱うのか。
それとも、ロケーションフリーをゲートにして提供されるテレビ映像か。
iPodやiTunes、Appleのリリース戦略には、ネットや世界に氾濫する音声・映像データを集約してやろう、みたいなものを感じられますが、PSPの動画再生からは、上流から流すデータを効率よく通す、統一規格で設計されたパイプラインのようなものを感じるのです。
これはPSP用にVodcastsの製作をやると、PSPの動画再生環境、すなわちエンコードの設定値からファイル名にいたるまでの特殊な仕様に苦しむことから、ヒシヒシと感じたことです。
また、正式にサポートしているエンコーダーはWindowsやVAIOで動くものであり、映像製作の現場に多いMacintoshは埒外になっています。
一方、iPodのほうは、いろいろなユーザー環境に合わせたサービスが既に出揃っています。
もしかするとコミュニティの盛り上がりの差かもしれませんが。
そしてこれは主観ですが、PSPが再生するファイル形式をH.264/AVCが有効になるMPEG-4に絞り込んで、すでに多くのコンテンツが存在するWindows Media、AVI、Flash、QuickTimeには対応しない様子を見ていると、「広く対応するより、先端的なクオリティと規格を優先したがっているのかな?」と思われる節があります。
無線LANにしても、まだちょっと早い、やや先取り感のあるものです。
PSPの性能をフルに生かしたVodcastingにしようと思うと、iPod向けに比べ、とてもハードルが高い。
それなのに、そのメリットをフルで享受できる視聴者は非常に少ない。というのが現状です。
もし、PSPが「ロケーションフリーを軸にしたコンテンツこそ主であり、それ以外はご勝手に。」という方向性が明確になったならば、ネット上でのVodcastingはiPodをメインのステージと捉えるでしょう。
今、見えつつある未来を捉えるiPodと、さらにもう少し先を探るPSP。
どちらもそうして棲み分けると、それぞれで成立しそうですが、その狙いはユーザーに受け入れられるかが、観察したいポイントです。
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