4月1日から開始されるワンセグ放送。
いよいよ今週末と間近に迫りましたが、さて、ワンセグってなんなのか駆け足で把握するために記事を集めてみました。
●まずは、名前の由来から。
この4月からスタートする「ワンセグ」とは、地上デジタル放送の6MHz帯域を13のセグメントに分け、そのうち1(ワン)セグメントを携帯電話やカーナビゲーションシステムなど移動体端末向けに放送するものだ。高い画質と音質の地上デジタル放送を、時と場所を選ばずに携帯端末で視聴できるようになり、放送、通信などの分野で新たな市場が創出されるものとして期待されている。
「時と場所を選ばずに携帯端末で視聴できる」というところがポイントですね。放送と通信の融合みたいなテーマのとき、期待感をこめて引き合いに出されるわけです。また、切り替え可能な2画面を使用し、データ放送に対してユーザーがアクションを起こすと、それが放送局にフィードバックされるようになります。
●プレーヤーの思惑は?
CEATEC JAPAN 2005で開かれたワンセグに関するパネルディスカッションから、いくつか抜粋しながら振り返ってみます。
▼ サービス開始までのカウントダウン--「ワンセグ」放送に賭ける関係各社の思惑
通信機能と連携させれば視聴者が番組のクイズに参加したり、Eコマースサイトで番組の関連商品などを買ったりできるようになる。
参加型コンテンツなどは、ユーザーの体験をより深く濃くできる可能性があります。たとえば自分の投稿が採用されたとか、自分もクイズ番組に参加していて、予選を通過したなんて場合は、参加している視聴者が、他の人たちに発信しだすこともあるでしょう。そうした「体験の提供」というのは、先日ブログ・オン・ビジネスで聞いた渡辺さんのプランニング法と通じるところがあるなあ。
また、携帯端末で時と時間を選ばずに視聴できるのが魅力のワンセグ。参入の様子に目を向けると、インデックスがコンテンツ制作から、決済、書籍やリアル店舗などとの連携までプラットフォームをそろえていることも伺えます。
(インデックス、ワンセグ放送に対応したモバイルサービスを開始より)モバイル端末を通じてイベントやテレビ番組にリアルタイムに参加できるサービス。イベント会場や自宅だけでなく外出先でも参加できるなど、「ユーザーの行動を制限せず、新しいエンターテインメント体験が可能」
実際にユーザーが動き出して商品を買う場面を支えるソリューションができているというわけですね。
視聴端末としては、すでに携帯電話各社が対応端末をリリース済み、あるいは発売予定を発表しています。携帯ゲーム業界や、ノートPC、ポータブルDVDプレーヤーからも対応商品が続々と出てきています。また、カーナビなど車載用機も参入してくるそうですが、こちらは電波を受け取ったり、それを補強する技術が別途必要で、そのあたりが壁となり、携帯電話や携帯ゲームと同列には語れなさそうです。
●ちょっとまとめ。
さらりと流し読みした程度ですが、要約し、引っかかるところを抽出。
ワンセグはこれまでの放送のように、免許を持った放送事業者が専門スタッフの手で制作されたコンテンツを流していきます。マス媒体のテレビ放送がその性格を持ったまま進化する様子。
広告的な役割でいえば、「認知の促進」という機能があり、さらにユーザーが体験もできる可能性をもつことになります。
また、オンデマンド放送のようなこともできるといいます。
これにより、放送時間帯に縛られない視聴や、よりきめ細かいニーズに対応したコンテンツが作れるといいます。
ものすごく万能な気がしてきますが、引っかかることが2つ。
まずは、インフラ使用料の問題。
少し前、NTTグループ周辺から、「通信帯域の消費が急増しているせいで、インフラ使用料を払え」といった話がありました。
地上波デジタルを電波で飛ばしているだけなら関係ないですけど、デジタル波の弱点を補うためにケーブルを通せという話が出ていたような。
もしも、通信コストがとにかく掛かってしょうがない状態だと、すべての番組がいつでも好きなだけ時間帯にとらわれず視聴可能なんて、効率が悪くて仕方がありません。
また、細かいニーズに対応した番組とは、裏を返せば「最大公約数で面白いといってもらえる番組ではない」ということになります。大きな視聴率を見込めない番組を流す余裕はあるのかな?
帯域の消費のためにインフラ使用料云々という話は、このワンセグ開始をにらんでの揺さぶりとも思えるところがあり、オンデマンドの魅力に影響を与えそうだったりするので、どうなるのか観察したいところです。
もうひとつは、視聴態度の問題。
これはテレビブログのカンファレンスなどで、テレビの中の人から聞いた話ですけど、テレビとは受身で非常にリラックスして見るもの。なんとなく流れているものをなんとなく見るのが主流で、PCに向かうように自ら進んでアクションを起こすような習慣がありません。
ワンセグに、ユーザー体験ができる機能があるといっても、その反応はどれくらいあるのか未知数です。
習慣を変えていくことに結構時間と労力が掛かるんじゃないかと思うんです。もしかしたら、ラジオとかWebサービスなど、すでにユーザー参加の習慣があるコンテンツをテレビ番組にスイッチさせて、ユーザーごと取り込んじゃうのかな?
●YouTubeやGoogle Videoといった映像コンテンツとの位置関係
関連事項として思い当たるのがこれです。
断定的なことは何もいえないので、手探りしながら書いてみます。
こちらの良いところは、なんといっても配信するのに免許がいらないことです。
だれでも伝えたい映像を配信することができるというのは、単純に見て楽しむのとは違い、映像を使って人に伝え、人と繋がる使い方にも応えることができます。
これが、「ネットにできて、放送にできない」ことのひとつだと思うんですよね。
iPodで楽しめるという部分て、ビデオポッドキャストを始めたころは結構重要だと思ったけれど、ワンセグが始まってしまうと魅力としては霞んでしまう可能性があります(ハウツーやガイドは別)。
幸いなことに、YouTubeがエンベットタグを書き出して、投稿作品をほかのサイトに貼り付けることを簡単にしてくれました。あれによって、ブログやサイトをテレビ受像機にすることができた。
(チャンネルが変えられないとか、著作権的に問題ありという突っ込みは、とりあえず置く)
放送事業者じゃない者が作るコンテンツは、誰かが誰かとコミュニケーションをとる場面で、伝播しやすい性質を保ちながら広まることで、ワンセグでやってくるコンテンツとは別の進化を遂げるんじゃないかなと思います。
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