Vodcastingをやるうえで、どんなターゲットにどんな反応を起こすものを届けるか。
それはとても重要なことだけど、今回はそうではなくって、技術的にどの要件をクリアしたモノを作るかっていうお話です。
諸説あると思うけど、僕の場合はこうでしたよってことで、お読みいただければ。
まず、Vodcastingがよその人に認知してもらえるまでに、データ作成以外で必要な段取りが、大雑把に分けても3つあります。
一段目●要件選択
二段目●サーバの用意
三段目●リスティングサービス登録
一段目から順にお話していきます。
一段目●要件選択
最終的にどんな環境で見てもらうかを念頭に、1)ムービーファイル形式、2)配信方法、3)圧縮コーデック、4)主な配信経路を決め込んでいきます。
1)ムービーファイル形式
PC、iPod、ケータイ、PSP、ゲームボーイミクロ+PLAY-YAN micro、CREATIVのZEN、アイリバーのプレーヤーなど、動画再生できるものは多々ありますが、一つのファイル形式で全てのマシンで再生可能というものはありません。
たとえば.WMVを選べば、PC、ZENはOKだが、ケータイ、PSPはダメ。という具合。
だから、このなかでどのマシンで再生可能なものにするか、絞る必要があります。
また、PSPもケータイもどちらのムービーもMPEG-4形式となっているけれど、双方ともに特殊な部分を含んでいるため互換性はありません。ここにも、どっちを選ぶか、の選択があります。
さらに、iTMSなどのインデックスサービスに拾わせることのできる形式と、できない形式があります。
その辺の事情を鑑みて、自分の理想の道を貫けるファイル形式を選びます。
2)配信方法
ストリーミング再生にするか? ダウンロードを待たせるか?
観点として、ひとつは、相手にムービーファイルを渡したくない or 渡してもいい。
もう一つは、見る人に対して、待たせずに見られるようにしてあげたい or 待たせておけばよい。
3)圧縮コーデック
画質と圧縮率について、パフォーマンスの高い最新コーデックH.264にするか or 普及しているコーデックMPEG-4にするか。
4)主な配信経路
PCでダウンロードしてPSPなどのポータブル機器に移してもらうか or 無線LANでのダウンロードに対応するか
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・そのなかで選んだもの。
1)ムービーファイル形式: QuickTimeの.mov
直接見られる環境: PC、PSP、
変換ソフト使用で見られる環境: ケータイ
(PSP用の動画ファイルは、PSPWareや携帯動画変換君で変換したファイルセットを配信することになります)
2)配信方法: ダウンロード。ただしファストスタート設定で待ち時間を短く。
3)圧縮コーデック: MPEG-4
4)主な配信経路: PC経由USBケーブル、無線LAN
備考: Vodcastingをやろう!と思ったきっかけはPSPで動画が見られることと、無線LANの魅力に打たれたからだったのに、PSPが先取りしたH.264が選択肢から外れてしまった!
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・選ばなかった理由
1)ムービーファイル形式
iTMSが拾うか否かがキーになりました。
ムービーの在り処を知ってもらわなければ広がりはないので、インデックスサービスに認識されることが非常に重要と考えた。
よって、.wmv .avi、Flashははずしました。またFlashは、現状ひろく出回っているポータブルムービープレーヤーPSPで再生できないことからも、選択肢から外しています。
2)配信方法
PC経由でその先の再生環境にも持っていってもらおう。というのならPCにデータが残る必要があります。
また、Vodcastingとして認識されるには、ダウンロードファイルと直接リンクされている必要があるが、ストリーミング配信では、直接リンクはせず、メタファイルを経由します。
iTMSを利用するなら、この方法は採用できません。
3)圧縮コーデック
ムービーのコーデックは現在対応している動画再生ソフトおよび、PC OSの関係でMPEG-4になりました。
MacやWinの最新の環境ならH.264で問題ないのだけど、それだと見られない人が3割ほどいることが判明。
まだ時期尚早と判断しました。
H.264はハイパフォーマンスなので、状況が許せばこっちにしたいです。 4)主な配信経路
ムービーファイル形式の選択過程で、結論は導かれました。
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二段目●サーバの用意
サーバは持ってないし知識も無い。
そんな人間(つまり僕)が、なるべくお金と手間をかけずに実現できるやり方を求めて検討対象を絞りました。
ユーザー登録して試したのは以下の4つ。
1)TypePad
2)ロリポップ
3)ハピショット
4)ステップサーバー
5).MacのiDisc
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・そのなかで選んだもの。
1)TypePad
すごく楽チンです。
TypePadにしておけば、サーバが受け付けてくれるファイル形式に悩む必要はなく、一ファイルあたりの要領制限でコンテンツがぶつ切りにされることもない。
Podcastを配信できるRSS2.0を備え、iTunesなどにすぐに認識してもらえるよう、Podcastフィードもあります。
実際使ったところ、配信するものがあれば、あとはRSSの知識もサーバの知識もいりません。月額420円で、配信にまつわるほとんどの面倒から解放されます。
ぼくは不器用だし、楽な方が好きなので、こちらに飛びつき、すぐにこのブログを立ち上げました。
とても気に入っています。
こんな人は、ぜひ!
・Podcastにばっちり対応したサーバを持っていない。
・対応しているファイル形式がどうだとか、MIMEタイプとかよくわかんない。
・今使ってるブログのRSSは1.0。
・Feed Burnerの扱い方がよくわからない。
・RSS2.0の直打ちはできない。設置の仕方もよく知らない。
・また、リンクをいろいろ書かなくていけないのは面倒。
・楽になるなら多少お金を払ってもOKだ。
・配信用のブログを立ててもOK。
2)ロリポップ
安いし、初期状態で各種動画・音声ファイルに対応しています。したがって、「MIME Typeをどうこうする」なんて、面倒くさいことをする必要がありません。
また、その気になれば.htaccessファイルを上げて、対応ファイルを増やすこともできます。
唯一つ、アップできるファイル容量の上限が5MBって部分には大変泣けますが。。。
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・選ばなかった理由
3)ハピショット
ブログから動画にリンクを張るとき、ファイルへの直リンクではなく、再生用ページに繋げられます。
これはハピショットがストリーミング再生サービスをしているからと思われますが、そうすると、iTMSやフィード変換サービスで、Podcastingがあると認められないようです。
一度にアップできるファイル容量が30MBというのも貧弱と思いました。いまは大容量と感じます。
4)ステップサーバー
安いんですが、めんどくさいです。
動画ファイルの対応について問い合わせたら、自力で.htaccessファイルを設置してといわれます。
で、.htaccessファイルの概要みたいなものを送りつけてきたから、「これじゃ設置できん、具体的な手順をおしえてよ」と返したら、大まかな手順が送られてきました。
その手順メモには次のような文章が添えられていました。
「名前の付け方、アップロードの仕方は、本やよそのサイトをみて勉強してください」
「エラーが起きるかもしれないけど、そこはテストと検証と工夫を繰り返して乗り切ってください(意訳)」
なんだか楽なサービスやってんなーとムカつきながら設置したら、先方の予言どおりエラー続き。
動画ファイルなんて受付けてくれないし。すざけるな!
5).MacのiDisc
年額9,800円が高いと思いました。(念のため言っとくと、ストリーミングサーバを手配しようと思うとずっと高いんですよ)
お小遣いで運用するには、出費がでかすぎるなと。
月平均にならしても他の4つより高い。
あと、iDiscは、ファイルの格納は楽チンなのだけど、それを外のブログからリンクを張ろうと思ったら、やり方がサッパリわかりませんでした。.Macの中をさがしまわっても、同じ所をグルグルめぐらされるし。
で、もういいと。
備考:サーバについては、ピア・ツー・ピアに大いに期待します。
参加してる人のPCがサーバになったり、クライアントになってくれたなら、MIME Type、ファイル容量、転送量制限など多くのハードルが消滅します。
Vodcastのリスティングには代表的なファイルを食わせてWebブラウザで見て、ダウンロードするときにはP2Pネットワークを使って負荷分散してる。そんな形が理想です。
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三段目●リスティングサービス登録
リスティングについては2つの道があります。
1)使っているブログがRSS2.0や、Podcastに対応している場合。
二段目でTypePadを使っている場合、これに属しますね。
2)リスティングサービスに対応するRSSを自前で用意する場合。
Feed Burnerなどの変換サービスを使ったり、直打ち方法です。
ぼくは最初、こっちを目指していました。
それぞれにメリットがあります。
1)は、言うまでもなく手間が掛からないこと。
PodcastやVodcastのファイルをアップロードしたら終わりです。
あとは、PodcastフィードをiTunesなどのツールに登録してもらうよう、呼びかけるだけです。
2)は、コストを安く抑えることができます。
やりかた次第では無料にすることもできそうです。
ただし、いくつかの作業を自分で行うことになるので、その方法を知ることが必要です。
やり方については、ジェット☆ダイスケさんの「簡単、ポッドキャステング用のRSS2.0の書き方」が非常に参考になり、おすすめです。
さてさて、どんな条件を満たして配信したらいいか結論が見えてきましたね。
ちなみにPSP用のファイル変換ソフトの取り扱いや知識に関しては、この本を参考にしました。
書評はよくないけど、操作画面と設定値が掲載されてて助かりました。
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この記事は、ミズタマのチチに掲載されている「Vodcastingのはじめかた。」を再掲載したものです。
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