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10月15日、東京都渋谷区初台で行われた「東京トンネリックス」に行ってきました。
そのレポート後編、「白トンネル」内部の模様と、見学終了後の出来事が収録されています。
(前編では、入場からトンネルで行われた2つのイベントのうち、「黒トンネル」内部の模様を収録しています。)
「白トンネル」では、トンネル建設の技術や、空気清浄、残土リサイクルなどの展示がありました。
お話が聞けたところを、かいつまんで紹介します。
・特殊な工事方法
首都高速中央環状新宿線は、内回り車線/外回り車線を一つの巨大な○(丸)でまかなうのではなく、
二つの円筒を間でつないだ、双眼鏡のような断面をしています。
その形状のため、ちょっと変わった手順で工事が行われます。
まず、シールドマシンで内回り車線/外回り車線になる丸い筒状のトンネルを2本掘ります。
それから、その2本のトンネルの間から土やら礫やらを取り除き、さらに一度シールドマシンでくみ上げられた壁材もはずしてひとまとまりの空間にします。
ここで問題が起きます。シールドマシンが作った円筒形のままで、周囲の地質が詰まった状態だと、圧力が均等に分散されるため、安定します。
しかし、間の地質を除去するとトンネルが歪んでしまいます。
これを抑えるために、トンネルの間にできた空間に両方のトンネルを支える「エ」の字型の構造材を追加しつつ工事を進めることになります。こういう工法は世界では類を見ないケースとのこと。
直径が3階建ての家くらいで、一枚一枚の歯の大きさはアジアゾウの奥歯よりでかいです。
資料映像:アジアゾウの奥歯。
岩盤を掘り進んで、土や礫を排出し、壁材のパネルをはめ込むまでをすべてこなします。
スピードはとてもゆっくりですけどね。
・空気清浄化、集塵システム
道路が通る空間の上には、排気ガスを正常な空気に濾過する仕組みが組み込まれています。
大きさはちょっとした体育館くらい。今回僕らが階段を下りてきたホール部分に、この設備が収まる予定だそうです。
ここを通して、有害な硫化ガスや煤塵(都知事が記者会見でバラまいた黒い粉)を95%以上取り除き、地表の煙突から換気を行います。
余談ですけど、この設備はトンネル本体の構造矩体ができてから着工されます。
工期も押し迫ったところで進行するから大変ですね。
上の集塵システムと連動するトンネル内部の換気システムです。
これがないとトンネル内の空気があっという間に濁り、運転すらままならなくなります。それからトンネル内火災などの災害にも。
首都高速中央環状新宿線は、全長9kmあって、そのなかに9台設置されます。
・残土リサイクル
トンネルを掘ると大量の土砂が出ますよね。
これは粘土質でそのままでは使い道がなく、産業廃棄物つまりゴミになってしまいます。
しかし廃棄する先はないし、処理するにも費用がかかります。
ところがこれを脱水処理し、さらさらで無毒な土壌に変えて、護岸や盛り土に使うリサイクルが進んでいます。
ポイントは、紙の加工現場から出される廃棄物を木炭のような多孔質に変えたモノ。(商品名:マッドキラー)
細かい孔が粘土質の残土から水分などをグングン吸収し、サラサラに変えます。
こうして生まれ変わった土は、この土の上に植物を育成することができるし、酸性やアルカリ性に傾くといった要素もありません。そうした性質が見込まれて、たとえば諏訪湖の護岸工事につかわれたり、学校のグランドになったり、田んぼや畑をかさ上げする土台の土になります。
首都高速中央環状新宿線の工事で出た土は、江東区などの埋め立て用の土が欲しいところで利用されているそうですよ。
トンネル工事と紙パルプ加工の現場から出た産業廃棄物が出会って、新しい価値あるものにかわるサイクルが、合理的で美しいと思いました。
トンネル建設現場で使われる鉄筋。
最も負荷が掛かるところに使われる一番太い鉄筋は、女性の腕くらいあります。
力試しで持ち上げている人が「重さが腰にくる」というほど重たい鉄塊です。
はじめまして!
「社会科見学に行こう!」から飛んでまいりました。
遅ればせながらようやくみなさんのレポートを読ませていただいています。
ミズタマのチチさんのレポート、すごく詳しく書かれていて、
とくに空気清浄化と集塵・換気・排煙のシステムがよくわかりました。
それから「エ」の字の支えを作りながらトンネルをつくっていくという工程のことは
他の方のレポートでは触れられていなかったので、はじめて知ることができました!
動画も場の雰囲気を一緒に味わうことができた気持ちです。
素敵なレポート、どうもありがとうございました!!!
投稿情報: じゅり | 2005年10 月20日 (木) 18:57
じゅりさん、こんばんは。
雰囲気が伝わったと言っていただけると、がんばってアップした甲斐があります。嬉しいっす。
あと、レポートが分かりやすいのは、現場の職員の方達が懇切丁寧に教えてくれた賜物ですね。
だって、ほとんど聞いたままですもん(笑
投稿情報: ミズタマのチチ | 2005年10 月20日 (木) 23:03