インパクトのあるタイトルに惹き付けられて、興味深く読んだ。
メディアの移り変わり、とくに今後の予測について書かれている。
▼ 『テレビCM崩壊』を読んでYouTubeでの出来事を思い浮かべる
言わんとするところは、マス広告は役に立たなくなり、かわって消費者のクチコミによってモノが認知され、ファンが作られ、物が売れるようになるとのこと。
広告主となる企業が提供した画像で、消費者がいろいろなアレンジを加える。そうした盛り上がり→クチコミで商品の告知がなされるという。
そういう動きは確かにあるが、それはプロモーション戦術の一つとしてはあるけれど、それで全てが置き換わるように断じるのは、ちょっと飛躍してると感じる。
崩壊とは、それが死滅を意味するが、完全にテレビCMの役割や特性を凌駕するものがあるだろうか?
いくら見られなくなったとはいえ、大規模な露出で一気に認知を作れる性質を持ったメディアは、テレビCMだ。
こちらは認知される量が垂直に立ち上がるのに対して、筆者のいう「消費者がいじって、盛り上がって、商品が売れる」という現象で認知が形成されるのは、多少のタイムラグが生まれるだろう。
そのタイミングと量のコントロールのしやすさを、ネットのどの辺のサービスが実現しているだろう。
もう一つ、こうしたコミュニケーションをクライアント企業側が好むかという点もあろう。
前出の「広告主となる企業が提供した画像」には、いろいろな人の英断が必要だ。
なにせ消費者はそのネタで何を作るかわからない。
スターウォーズのファンが作った、ジェダイなり切り映像で、「おもしれー!」と祭りが起きるのは非常にうまく行った例だけど、こんな盛り上がるかわからないし、もしかしたらアンチ広告(某自動車メーカーであった)や、ポルノなどの歓迎されざるコンテンツに勝手にマッシュアップされる可能性もある。
さらには、それら映像を作ったクリエイターやモデルの肖像権もあるわけで、そういうことをクリアする必要もある。
すると、当たるか大ハズシするか誰にも分からないもののために、関係各社の合意を取り付けるために奔走したり、下手を打った場合突き上げを食らうことを了承するような、そんな漢気溢れた広告宣伝担当者がどれほど存在するのかってことになる。
それは、「何でも出せば良い」っていうんでなく、お客とどういう風に関係作りをするか/してきたかを綿密に練り上げたシナリオがあって、初めて成立することである。
導かれる答えとしては「TVCMでドカーンとやっておけばOKという時代じゃなくなりましたよ。お客さんとどういう関係を作るか、接客からパッケージ、カスタマーサポートまで、あらゆるシーンのコミュニケーションに気を配る必要が出てきたんです。」となるだろうか。
広告を打った後の実効性という意味では、テレビCMだけでは効かなくなってきたというのはほぼ合意。
そういう意味で影響力は低下したかもしれない。
これまでより、もっと綿密なキャンペーン戦略が必要になったり、クライアントの宣伝担当者が胃をギリギリ言わせながら、プロモーション計画のGOを出す機会が増えるかもしれない。
ただ、それでテレビCMが終わったなんていってたら、物事を見誤りそうだ。
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